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STUDIO LUMIERE  

「 何事にも創意工夫をもって 」

何かをやるとき、やらなくてはいけないとき、
どうせやるなら、何事にも創意工夫を試みよう。
大したことでなくてもいいのです。

アメリカにLIFE(ライフ)というグラフジャーナル誌がありました。
写真家も一流でした。そのLIFEで活躍した
D.D.ダンカン(デイビッド・ダグラス・ダンカン)という写真家がいます。
朝鮮戦争のレポートや、ピカソとの交遊を通して
その素顔と私生活を撮った素晴らしい作品で有名ですが、
そのダンカンさんが、かつて「ひまわり」という写真集をつくりました。
「 何事にも創意工夫をもって 」_d0154964_201905.jpg

内容の素晴らしさは見てのお楽しみですが、注目したいのはその手法です。
当時はまだフィルムカメラの時代でしたが、
これほどの一流写真家です。どんな高価な、そして、特別仕様の機材を使うのか?
メーカーがどうぞ!とばかりに用意したプロ用のフィルムが山と積まれ、使い放題…
と思いきや、まったくの逆でした。
高校生の写真部に置いてあるような、ごく普通のカメラに、
街のお店で普通に買える、記念写真用のネガカラーフィルム。
レンズも、ポケットにねじ込めるくらいの小さなズームレンズと
接写ができるレンズなどごく少ない機材です。
巷のアマチュアカメラマンが見たらさぞ驚くことでしょう。
総じてLIFEのカメラマンたちの機材はシンプルでコンパクトでした。
そう。作品をつくるのは機材ではなく人です。
手元にあるもので、考え、工夫してつくりあげる。そこが大切です。
当時ダンカンさんが何を思ってこうした手法を選択したのかは、たぶん聞いても、
あの、いたずらっぽい笑顔で、ウインクされて、おしまいなんでしょう。
本当に飾り気のないやさしい空気をまとった、でも実に偉大な写真家です。
「何事にも創意工夫をもって」
これは、ダンカンさんの親友でもあった、私の先生からいただいた言葉です。
by mooriyan | 2011-08-11 20:23 | mooriyan