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STUDIO LUMIERE  

「 翁の犯した罪と罰 」

みなさんは「かぐや姫の物語り」をご覧になりましたか?
綺麗で高畑監督ならではの作品でした。
サブタイトルの「姫の犯した罪と罰」には
いろいろと考えさせられました。

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竹取物語は「竹取の翁(おきな)」の物語りで、翁が主人公だという説があります。
働き者である翁に、天が褒美として、しばしの間、貸し与えた「かぐや姫」
その姫を翁は大切に育てますが、「大切」が次第にエスカレートし、
モンスターペアレントのようになってしまい、
かぐや姫の意思を汲むどころか、翁の独善的価値を押しつけます。
姫は、そんなことを望んでいるのではないと悲しみ、
思わず「月に帰りたい」と禁断の言葉を口にしてしまうのです。
そして、姫を月の世界、遠く手の届かない世界に連れ去られて、
はじめて、本当に大切なことは何であったのかを知る。
気が付いたときにはすでに遅く、翁の傷心のうちに物語は終わります。

翁の愛情は偽らざるものだったのでしょうが、
自らが正しいと信ずるものが、他者にとって必ずしも正解ではない。
他者に施す時には細心の注意がいるということなのでしょう。
それを不用意に押しつけてしまう罪は、
それまで注いだ愛情や、築き上げてきた信頼を瞬時に失ってしまう。
そんな罰となって自らにふりかかってくるのです。
これは、戒めの物語りでもあるのかもしれません。
「月を見るたびに涙する翁」のようにならぬようにと。
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by mooriyan | 2014-03-09 07:31 | mooriyan